記事評価:記事の特筆性の形式的表現

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基本

トレンドニュースの一種としての議題ニュース

  • トレンドニュース = ここでは、日経平均株価や為替レートなどの定期的な時系列情報をトレンドニュースと定義します。トレンドニュースでは、その日の最大上げ/下げ幅や終値をトレンド特筆性として文章化します。そのためには1日の時系列データを収集し、後から振り返った場合の特筆的なピークを記述します。重要な特徴は、対象期間の間には最大/最小値といった特徴は記述できないということです。トレンド特筆性を記述するには、対象期間が終わった後に、過去の確定的なデータを元に、トレンドの特筆性を分析することが必要になります。
  • 議題ニュース = 「地球温暖化」「LGBT」「移民とテロ」「少子高齢化」など、社会的議題(イシュー)を念頭に置いたニュース報道を議題ニュースと定義します。トレンドニュースと同じように議題ニュースも、過去と未来への傾向の推定を暗黙裡に前提とした、現在の状態の特筆性を報道したものと解釈します。つまり個々のニュースは、記者が想定する社会的トレンドに対する新しい情報を与えるものとして報道するというモデルです。これは広い意味での「ニュースバリュー」の一種とも言えます。
    たとえば「地球温暖化」に関するニュースでは、人為的な温暖化が未来においてさらに急激に進むという想定のもと、異常気象や海水面上昇、あるいは逆に反証となるような寒冷化などの事例を報道します。逆にそれがなければ、単なる珍しい現象の個別ニュースでしかありません。

特筆性の形式化のメリット

  • トレンド情報としての特筆性 = 議題ニュースをトレンドニュースの一種とみなすことで、議題ニュースを保存し分析するための形式的な方法を作ることができます。そこではトレンドニュースと同じく、記者が前提とする過去と未来への推論を明示し、現在の事象がその傾向推定の中で確証/反証/新しいトレンド推定の提示のどれかに貢献するものとして記述できます。
  • 推定の形式化 = 記者が前提とする傾向の推定は、記事の中で「将来的に地球温暖化が急激に進むとみられているが、」のような背景情報として記述されることがあります。しかしどの前提を紹介するか、前提の種類、適切性の評価がないので、記述法が記者にまかせられている部分が多いことが問題です。記者が前提とする推定が変われば、ニュースバリューも記事の記述も変化します。このような暗黙裡のトレンドの前提を、できるだけ精緻に幅広く分類し、アルゴリズム化し、明示することができれば、記事分析を一定原則に従って行うことができます。
  • 記事の事後検証 = ある事実を報道する特質性の前提となる過去と未来の推定を、フォーマットに添って記述することで、ジャーナリストが前提としている推定を明示し、予測が当たったか外れたかを後で検証できます。たとえば「共産主義がこれから世界の潮流になる」というおそらく間違った前提のもとに記事を作成していた場合、それを明示的に検証ができるようになります。
  • 確定記述化 = 記者の推定を明示することで「過去と未来の推定がこうならば、これは特筆的である」という条件文による確定記述ができます。推定を仮定的な条件文にすることで、推定が間違っていたとしても記述全体は間違うことがないからです。

 

傾向推定と情報貢献モデル

要素

  • 基本 = ある議題ニュースが特筆性を持つためには2つの要素が必要とします。1つは「議題に関する過去と未来の推定」です。2つめは、その上で「その推定に現在のニュースが情報としてどう貢献したか」です。
    ・傾向推定 = たとえば「『地球温暖化』は過去には緩やかだったが現在は急激に上昇傾向にあり、将来はさらに上昇する」、あるいは「ヨーロッパへの移民は、過去には順調に増える傾向にあったが、現在はそのリスクに人々の関心が移り、将来的に移民制限が広まる」などの推定です。基本的には、上昇/下降/一定/変化点のトレンドがあります。
    ・情報の貢献 = 過去と未来の傾向を前提として、現在のニュースがその推定を確証/反証/新しいトレンド提示のどれかを強化する貢献をした場合、そのニュースは議題への情報的貢献したといえ、ニュースとしての特筆性があったといえます。

トレンドの属性

  • 強度 = ある事柄の頻度、量など。
  • 勢力の変化 = 中国、イスラム国の台頭など。
  • 価値観からの評価 = ある社会、あるいは世界全体での「民主主義」、「人権」といった観点からの評価値。

情報追加による新しいトレンドの提示

  • 基本 = あるニュースが情報として追加されたことで、推定が変化したり確定度が高くなるもの。
  • トレンド変化 = テロの連続による、テロ流行認識など。
  • 組織スキャンダル = 新しい情報から、責任の対象や全体像が変化することが多い。
  • 決定的証拠 = 暴露事件にNSAの関与などを決定づける証拠の提示など。

特筆性の記述法

  • この事件がなかったらどうなっていたかの推定付加 = なかった場合の予測を記述することにより、事件の貢献予測への貢献を同時に明示できる方法です。これにより事実上、ニュースの特筆性の記述ができます。

特筆性抽出のバイアス

  • 基本 = 記者や新聞社の偏向の原因のひとつに、あるニュースの特筆性の解釈、つまり取り上げ方という要素があります。そのバイアス源を分類します。
  • サンプリングバイアス = 人は興味の惹かれる事柄への注目し、情報を集める傾向があります。宇宙人研究家や陰謀論者のように、無関係なニュースを議題として関連付ける危険があります。

 

現在の特筆性を語ることの問題

基本

  • トレンドの特筆性を現在語ることの問題 = 時系列の分析において、現在の値が極大点であると認識するためには、過去と未来が現在より低いという知識が必要となります。ジャーナリズムの場合は当然ながら、ニュースを書いている時点で、未来を知ることはできせん。その中で現在のニュースに特筆性があるというためには、記者の推定を前提にするしかありません。実は未来だけでなく、過去も確定的とは言えないことが多いので、どちらも推定に頼る必要があります。このような問題は「歴史を語ること」や「物語を語ること」と類似した構造を持っています。

物語文去

  • 物語文 = 「この事件の後に〜になった」といった、すべてが終わった後過去を語る形式とします。実は現在のニュースを記述するならば、このナラティブが理想的です。しかし過去と未来を確実に分からないので、現在のニュースをこのように語ることができません。

ソース

 

他との関係

  • ニュースバリュー = 何かのニュースを社会問題と関連付けて報道する場合、そのニュースには社会問題に対して何かしらの情報としての特筆性があるといえます。これはニュースバリューとして実務的に事件を記事化するときに使われている基準の一種とも言えます。

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