モデル:報道と市民の集合知の共鳴ループ

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基本

説明

ネットを通じた市民と報道の関係は、敵対的な部分と共生的ま部分があります。
このページは、市民と報道の共生関係として、市民が発掘や暴露した情報をメディアが報道し、さらにそれにより市民の情報発掘を即すという共鳴現象の、モデル作成とその応用プロジェクトです。

事例

  • STAP細胞事件 = 小保方晴子氏が提出した論文内容と電気泳動写真の検証。関係者を含む市民が検証したデータを、メディアが報道し、さらにそれによって市民の検証が増すというループがあり、論文への疑惑が社会問題化した例といえます。参照=小保方晴子のSTAP細胞論文の疑惑

 

報道と市民情報のループモデル

報道と市民の共鳴

  • 基本 = 市民が発掘した情報をメディアが報道することで、さらに市民が情報を掘り上げ、それをメディアが取り上げるループの要因分析。
  • 報道側のループに参加するインセンティブ = 市民に情報発掘を任せることで、調査報道をほぼ無償で外部委託できます。
  • 市民側のループに参加するインセンティブ = 市民の情報が報道されて社会問題化すると、新しい情報がおそらく報道されるという確証が得られるので、内部告発や他者からの承認欲、コミュニティ参加欲、ゲーム性が高まります。
  • ループの減衰要因 = ニュース過多による飽き、新規の有益な情報の減少から、報道と市民からの情報のどちらもが時間が立つほど減少に転じます。

 

傾向

ループのきっかけは、報道か市民の新情報のどちらもありえます。
しかしその後のループでは、市民の新情報が先行して開示され、次いでそれを報道する量が増えます。
いくつかの報道過熱ピークがあった後、情報資源が枯渇しだすに従って、徐々に報道と新情報のどちらもが減衰していきます。

連鎖のための条件づくり

  • 市民の集合知に必要な体制づくり = データのオープン化、オープン化への圧力、匿名告発への保護体制。これにより、いわば市民が認知能力を使うための、肥料と場を与えます。
  • 市民の情報探索能力 = 情報探索と解釈のために、pythonのBeautiful soupのようなスクレイピングツール、pythonのscikit-learnのようなデータサイエンスツールを扱える市民が重要になります。
    市民ジャーナリスト、メディアウォッチャーのようなメディア活動を行う市民も重要です。ウェブページやキュレーションといったコミュニティ形成能力を持つ市民も、集合知を束ねて方向づけるのに役立ちます。
  • ニュースの「ブーム化」 = ニュースの対象に市民の注意を引きつけるために、連続的に同じ対象のニュースを報道することで、ブーム化することができます。これは一種の偏向報道とも言えるので、必ずしも公平な報道とはいえないが、事実上この手段は行政が政策を実行する前段階で広く使われています。
    たとえば行政の自転車への厳罰化を進めたい場合に、法案提出に先立ってたくさんの自転車事故の報道をさせて、社会問題化させます。あるいは芸能人に対する生活保護不正受給報道や麻薬取り締まりなど、有名人を「生贄」にして社会問題化させることも、広く行われています。
    この手法を使えば、市民のニュースへの注意を集め、市民によるデータマイニングにつなげるためにも利用できます。
  • 市民からの新情報のすくい上げ体制 = SNSでの対象の話題に関するハッシュタグを見つける、あるいは自ら制定して広める。キュレーターとなる市民をフォローして定期的に見ることで、新情報をすくい上げることができます。
    また内部告発や報告を受け付けるメールやSNSアカウントを作ることで、市民からの意識的な情報開示にも対応できます。
  • ニュースバリューの評価 = 市民からの情報のうち、重要性と確証性の観点から評価をしてフィルタリングをしなければいけません。確証性が低い場合でも、自ら情報探索するための種となりうるので、利用価値があります。
    そのために、評価者には市民の情報を評価するための、社会制度、データサイエンスの知識、ネットへの基礎知識が必要になります。つまりこれはジャーナリストによって必須のスキルとなります。
    ・報道と報酬 = 必ずしも情報提供者を明示したり特定する必要はありませんが、市民からの新情報を報道することにより、市民のさらなる協力が期待できます。これは報道による一種の承認という報酬を与えたとも解釈できます。

データ解析

  • 市民の反応 = 特定の話題に関するハッシュタグが付いたツイートの増減を、市民からの情報の大雑把な傾向とします。
  • 報道量 = キーワードやタグなどでフィルタリングした、特定の話題に関するニュースメディアの報道量をカウントします。
  • 市民からの新情報の報道 = 報道のうち、市民からの情報を参照した記事の量をカウントします。
  • 報道と市民の反応の同期関係 = 市民の反応と報道量のトレンドを並べ、比較します。

 

他のものとの関係

解釈

  • 新情報の乗数効果 = マクロ経済においては、政府支出や投資といった刺激が、消費者や企業のような主体を回る乗数効果があります。そのとき消費者の所得増加に対する貯蓄性向分だけ、効果が減衰していきます。
    報道と市民を主体とみなした場合、新情報を制限のある資源とみると、共鳴しながらも減衰していく状態が類似しています。
  • 自律的データマイニング = 報道側から見ると、市民の集合知マネージメントによる、自律的なソーシャルマイニングの手法と言えます。
  • 囚人のジレンマの解消 = たとえ市民が情報や情報発掘能力を持っていたとしても、それが報道されるか分からないために実際には表に出さない情報が存在します。それは内部告発の場合はリスク、情報発掘の場合はコストとなり、社会的に有益な情報開示を妨げる要因となります。
    報道で衆人環視に晒すことで、新しい情報を出すことのデメリットを下げることができます。このような社会的協調から、囚人のジレンマ的状況を解消したとみなすことができます。

 

関連文献

集合知


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