情報:記事の語句無差別性検定

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基本

説明

これは男女差別に関する記事などの暗黙裡の価値的偏りを明示的・定量的に評価する方法論です。簡単にいうと、文や記事内の単語を組み換え、組み替えた場合と組み替えなかった場合の記事を比較し、その帰結や価値的評価の違いを検証します。

具体例

まず女性差別に関する記事を、「男」と「女」を入れ替えたものに変換します。例えば「男性が家庭を顧みないほど働くのは日本の男性優位性の表れであり、女性差別社会の証拠だ」と述べる記事の場合、「女性が家庭を顧みないほど働くのは日本の女性優位性の表れであり、男性差別社会の証拠だ」に変換します。
次に母国語ネイティブが2つの語の意味や文法の同一性を判断できるのと同じように、正常な判断能力を持つとみなせる検証者に、2つの記事の帰結と価値を評価させます。2つの記事が全く同じ価値評価を持つとみなせるなら、この記事において「男」と「女」は無差別的であり、一種の同義語とみなせます。もし2つの記事の価値評価が異なると読めるならば、同じ価値となるように付加情報を付け加えます。
これにより、記事単位で、「男」と「女」の文脈上の無差別性を検証でき、もし無差別でない場合にはその根拠となる記述を得ることができます。
検証者の判断を量的に集計すれば、どの記事が暗黙裡に「男」と「女」を差別的に扱っているか、またそれには正当な根拠となる付加記述がありうるかを、明示的に評価するデータセットを生成することが可能になります。

認知言語学での意味の検証との類似

認知言語学において、異なる使われ方をする2つの語が、異なる語としての同音異義語か、あるいは複数の意味を持つだけの同じ多義語かを見分けるための実証的テストの手法があります。
分離テストでは「学校(校舎)はなくても学校(学校活動)はある」のように、同じ語で肯定と否定の2つをつなげた文にして、意味が妥当と言えるかをネイティブがチェックします。
統合テストでは、「太郎は、(<次郎の頬>と<次郎の対策>)を打った。」のように、2つの使われ方を並置した文を作り、<頬を打つ>と<対策を打つ>は同じ打つとしてまとめられるかなどをチェックします。
これらのチェックにより客観的なデータとして単語の分離や同一性を検証できます。
語句無差別性検定は、この認知言語学での意味検証法と類似しています。ただし1つの語の意味ではなく、「男」と「女」のような一組の語の入れ替えによる意味の無別性の検証を行い、暗黙裡の偏りや偏りの根拠となる記述を得ることを目的としています。
ある記事において2つの語が無差別的である場合、それは一種の同じ意味の異音同義語とみなせます。差別的である場合、別の語とみなすことになります。

 

メタ情報

課題と解決

差別や価値問題においては、各人が非明示的な価値的前提を持っているために議論が妨げることがあります。さらに、男女平等を謳いながら、実は女性への特別のケアなどの平等に反した前提を持つ議論や記事が存在します。
ここで紹介する方法論は、非明示的な差別や偏りを客観的データで提示するものです。これにより価値判断に関する見通しの良い議論を作ったり、偏りのある記事への評価づけをすることが可能になります。

主なターゲット

  • 男女平等問題。男女平等を掲げているにもかかわらず、実質的に男性あるいは女性側への特別の優遇価値を述べている記事の検証。
  • 日本と北朝鮮での憲法9条擁護者の対応。たとえば憲法9条擁護論者の記事における、「日本」と「北朝鮮」を入れ替えた場合の軍事行動への評価の矛盾の提示。
  • 途上国と先進国でのテロの扱いとその価値評価の比較。たとえば同じ死傷者で異なる評価の比較。
  • アメリカの同盟国と非同盟国での制裁基準の違い。たとえば「イスラエル」と「シリア」での人権侵害への評価の比較。
  • UFO研究のようなナンセンスな憶測記事と、社会での差別意識の憶測記事の類似性の提示。根拠のない憶測記事を、「UFO」との組み換えにより明示化。

上位概念

この方法論をツールとして実装した場合、ネットのデジタル資源への人間の認識を使ったタグ付けと集計の一種です。はてなブックマークと似た試みと言えます。

実装

  • Javascriptによるhtmlページの単語変換 = urlを受け取り、単語を入れ替えた記事を返します。
  • ユーザによる2つの記事の評価づけ = 入れ替えても同じなら無差別的、異なるなら同じになるための付加記述を添付し、データベースに保存します。
  • 集計 = 記事単位で評価づけの集計を行います。これは、認知言語学でいう同音異義語か多義語かの実証的データと類似したものとなります。
  • Chromeブックマークレット = ユーザが手軽に変換ページを生成し評価づけするためのツール。

関連文献

アップデートタスク

  • ツールの実装。
  • 具体的な無差別性のポイントシステム。
  • 検定法の拡張。分離テストや統合テストのように、2つの語の意味を分解する方法論の拡張。
  • 完全性の確保。すべての可能な意味検証法を包括するモデル。

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